審査官に嫌われない“理由書”とは

今回は、様々なビザ申請時に添付することが多い“理由書”について…。
ここまでの実務で見えたことや、勉強会でお世話になっている先輩の先生からのアドバイスも踏まえ、あくまで私見ではありますが、書いていきます。
■入管のHPにある必要書類リストに理由書はない
入管のウェブサイトにある各申請に於ける必要書類リストには、基本的に理由書はありません。
つまり、ルール上は必須書類とはされていないのですが、とても重要な資料の1つだと感じます。
実際、私の受任案件でも、理由書は必ず作成して提出しています。
■理由書の役割とは
あくまで許可・不許可を左右するのは、要件を満たしているかどうか?だと思います。
ですので、理由書の存在そのものが審査結果を左右するわけではないと。
ただ、下記のようなシチュエーションでは、とても有効であることは確かだと思います。
・要件に対して不安な要素がある場合に、詳しく状況を説明し補足をする
・誤解を避けたり、真意をきちんと伝える
・審査に対してプラスになり得るアピールポイントを記載する
私の考える理由書は、×を〇にするのではなく、基本的にはこれらのことを伝える資料だという意識で、いつも作成しています。
■審査官に嫌われがちな理由書
参加している入管業務の勉強会での、ベテランの先生方の経験談を聞いていく中で、妙に納得したのが、審査官に嫌われる理由書の形。
あくまで、先ほど述べた内容を、適格且つある程度コンパクトに伝える必要があるというのは、理解出来ます。
毎日のように、多くの申請者の審査をする審査官が、無駄に長い理由書を、いちいち読んではくれないだろうというのは、十分に想像出来ると思いますので…。
例えば、資格該当性などの根拠を条文なども盛り込みながら、長々と説明した上に、“よって、○○の要件を満たしているため該当性をクリアし、許可に値する…”といった結論の部分まで論じてしまうような理由書は、ただただナンセンスだと感じます。
許可に値するかどうかは、あくまで審査する側(入管側)の判断であって、理由書の作成側が決めることではないからです。
そもそも、規定の部分は、こちらが書くまでもなく審査官の方はわかっていますし…。
もし、私が審査官の立場で、こんな理由書を見たら、まず良い印象はないですね。
■弊所が作成時に心がけていることは、100%自前の文章
私は、元々文章を書くのが好きで、ウェブライターとして数多くの記事を執筆したり、某有名占い師のゴーストライターをやっていた経験もあったり、個人のブログについては21年間書き続けていたり、文章構成にはある程度の自信と経験があります。
実際、お客様からも理由書や帰化申請の動機書の作成で、大変喜んで頂いており、お役に立てていると実感しています。
私がお客様の理由書や動機書を作成する際に心がけているポイントとしては、下記の5つになります。
1.お客様のそれぞれの状況や背景を細かくヒヤリングし、その上で文章の流れを作る
2.説明、補足、アピール、書くべきポイントを絞って、的確且つコンパクトに伝える
3.読み手(審査官)の気持ちに立って、読みやすく確実に伝わる文章構成にする
4.文章作成に於いてAI等は使用せず、100%私が作成する文章で構成する
5.作成したら、必ずお客様に実際の背景と文章内容にズレがないかを確認して頂き、ズレを感じた場合は、何度でも納得して頂けるまで修正する
正直、どれも当たり前のことなんだと思いますが、この5つは基本として業務にあたっています。
1つだけ誤解のないように補足しておきたいのが、“4”に書いたAIの使用について。
これは、決してAI自体や、その活用を否定しているわけではありません。
AIに書かせたものを、検証やリライトもせずにそのままコピペは、あまりいいとは思いませんが…。
私も、翻訳や何かを調べたりする際には、日常的にAIを使います。
例えば、どうにも文章を書くのが苦手だ…という場合は、的確に伝えるためにも、むしろ積極的に使うべきだと思います。
ただ、私の場合は、(文章が)上手いか下手かは読み手の感じ方で変わるので、自分では何とも言えませんが、文章を書くことへの抵抗はゼロなので、それぞれのお客様の状況を反映した、リアルな言葉として文章化したいんですよね。
そういう考えから、100%自前の文章としています。
よく、“理由書だけ作成してくれないか?”というお問い合わせを頂くのですが、申請サポートの一環としての理由書作成という位置づけなので、今のところは理由書だけをお受けすることはしていません。
ただ、ご相談内容によっては承ることもありますので、お気軽にご相談頂ければと思います。
樺島 誠二 / プロフィール

- 申請取次行政書士・樺島 誠二(第24091486号)
- 【行政書士✕プロドラマー】
神奈川の二刀流行政書士・樺島 誠二です。
ビザ申請、帰化申請等の国際業務や、民泊申請をメインに、開業2年目ながら、既に多くの案件を受任。
迅速且つ確実な申請サポートを提供します。
また、沢木優の名義でプロドラマーとしても活動中(Pearl Drums、Vic Firth社のモニターアーティスト)です。
2002年にメジャーデビュー後、レコーディングやライヴのサポート、ドラム講師など…数々のドラム仕事を経験。
2024年3月には、New Yorkブロードウェイミュージカル「WITHOUT YOU」来日公演にてツアードラマーを務めました。
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