在留特別許可と日本人の配偶者

在留特別許可とは、退去強制の手続きが行われる外国人に対して、法務大臣の裁量によって特別に在留許可がされることをいいます。
この許可を得ることにより、不法滞在が解消され、適法に日本で在留出来るようになります。
大前提として、在留特別許可は、退去強制の手続きが行われていることが必要です。
不法滞在であることを申告して、違反調査や口頭審理が行われた後に、法務大臣による採決を受ける際に、異議申し立てを行うと特別在留許可が検討されることになります。

■在留特別許可を得られると?
在留特別許可を得られた場合、まずはオーバーステイでも強制送還を免れます。
通常、オーバーステイ状態になった外国人は、退去強制の対象となりますが、そのまま退去強制となった場合は、以後5年間は日本に再入国が出来ません。
更に、退去強制が2回以上になった場合は、再上陸拒否期間は10年に延長されます。
しかし、在留特別許可を得た場合は、退去強制を免れるだけでなく、新たな在留資格と在留期間を与えられます。
よって、その審査も厳しく時間も要しますが、許可の性質上、人道的な配慮を必要とする特別な事情や、世界情勢など様々な事情を総合的に考慮した上で判断されます。
具体例としては、自国の状況にとって難民として日本に入国した場合等です。

■日本人の配偶者は、どう影響するか
退去強制の手続きが取られ、在留特別許可申請をする際に、日本人の配偶者がいることで在留特別許可の積極要素になり得る場合があります。
あくまで“積極要素”ですので、在留特別許可を与える方向に有利に働く要素に過ぎず、日本人配偶者がいるからといって、在留特別許可が必ず出るということではありません。
夫婦として相当の期間共同生活を過ごし、婚姻が安定していることも必要な要素になりますので、婚姻そのものが、単に退去強制を免れるための偽装である場合は、当然のことながら論外となります。
また、婚姻の状況だけでなく、本人の素行や生活状況等…総合的な評価で判断されることになります。