在留資格“研修”とは?

今回は、在留資格“研修”について書いていきます。
研修ビザは、非就労系のビザですので、働くことは出来ません。
要件を満たした外国人の方が、“研修生”として日本に滞在するためのビザです。
目的としては、研修で学んだ技能や知識を母国に持ち帰り、活用することとしています。
研修終了後は、帰国が前提のビザのため、原則として就労系のビザへの変更は出来ません。
そして、研修が目的の非就労系ビザですので、雇用契約は不要です。
よって、給与等の報酬も受け取れないため、注意が必要です。
※アルバイトも認められません
ただ、日本滞在中の生活費や交通費等“生活実費”であれば、研修手当として受け取ることが出来ます。
更に、研修終了後の帰国費用も受入れ機関やあっせん機関が負担します。
在留期間は、1年・6ヶ月・3ヶ月のいずれかになります。
研修の期間や手続き内容等を審査され、期間が決定されます。
また、研修生の主な受入れ機関は
・一般企業
・国や地方公共団体などの公的機関
・独立行政法人
・国際機関
となっています。
■研修ビザの研修内容
研修ビザの研修は、“実務研修”と“非実務研修”の2種類があります。
・実務研修
実務研修は、“商品を生産、販売をする業務”や、“対価を得て役務の提供を行う業務”があります。
一般的な例で言うと、工場スタッフと同じ生産ラインに参加し、製品を製造する技能や技術を学ぶケースがあります。
研修ビザは、原則として実務研修は認められておらず、認められる実務研修は、国や地方公共団体などの公的機関が運営する事業のみになります。
ですので、一般企業が行う研修については、研修内容に実務を絡めることは出来ません。
・非実務研修
非実務研修とは、座学、見学、体験、模擬訓練、1対1によるレッスンなどがあります。
例えば、工場の生産ラインで言うと、生産施設とは別の場所に設置された練習用ラインなどを使用したり、通常の生産ラインを使用する場合は、研修生による(商品として販売されない)試作品製造のために一定の時間だけ使用する…等です。
また、接客の場合は、顧客相手ではなく、研修生や受入先の機関職員、外部講師などを相手に行う接客練習。
見学の場合は、生産業務を視察しながら、口頭で説明を受けることを指します。
1対1によるレッスンの場合は、練習として生産活動を行うとしても、短時間で且つ、客観的に見て生産活動に従事していると認められないケースに限定されます。
■技能実習ビザとの違い
技能実習ビザも、研修ビザと同じく、日本で学んだ技術や知識を持ち帰り、母国の発展に役立てるという特徴がありますが、大きく違う点があります。
技能実習ビザ | 研修ビザ | |
雇用契約 | 必要 | 不要 |
---|---|---|
給料・報酬 | 有 | 無 |
実務研修 | 可能 | 限定的 |
在留期間 | ・1号 / 1年間 ・2号 / 2年間 ・3号 / 2年間 | ・1年間 ・6ヶ月 ・3ヶ月 |
■研修生の要件
●非実務研修を受ける研修生になるには、下記の要件を満たす必要があります。
・技能の内容が同一作業の反復によって修得出来るものではないこと
・申請者の年齢が18歳以上で、帰国後に学んだ技能を要する仕事に就くことが予定されていること
・母国の住所地では修得するのが困難な技能を学ぼうとしていること
●実務研修を受ける研修生になるには、上記の3つに加えて、下記の要件も満たす必要があります。
・申請者が受ける研修が、公的研修として認められる下記のいずれかに該当すること
1.国や地方公共団体の機関又は独立行政法人が自ら実行する研修
2.独立行政法人国際観光振興機構の事業として行われる研修
3.独立行政法人国際協力機構(JICA)の事業として行われる研修
4.独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構石油開発センターの事業として行われる研修
5.国際機関の事業として行われる研修
・外国の国や地方公共団体に指名された申請者が、日本の援助及び指導を受けて行われる研修を受ける場合、申請者が母国の住所地に於いて技能を広く普及する仕事に就いていること
■受入れ機関(企業側)の要件
●非実務研修の場合は、下記の要件を満たす必要があります。
・受入機関の常勤職員で、修得技能等に関する5年以上の経験を有する研修指導員がいること
・研修継続が不可能なケースでは、直ちに受入れ機関が地方出入国在留管理局に当該事実及び対応策を報告すること
・受入れ機関又は斡旋機関が研修生の帰国旅費の確保などの措置を講じていること
・受入れ機関が研修の進行状況に係る文書を作成し、事務所に備え付け、研修終了日から1年以上保存すること
●実務研修を受ける研修生になるには、上記の4つに加えて、下記の要件も満たす必要があります。
・研修生の要件にある5つの機関の他に、国や地方公共団などの資金により運営されている事業として行われる研修で、受入れ機関が下記の全てに該当すること
1.研修生用の宿泊施設及び研修施設を確保している
2.生活指導員を配置している
3.研修生の死亡、疾病に対応する保険の加入などの保証措置を講じている
4.研修施設について安全衛生上の措置を講じている
・外国の国や地方公共団体の常勤の職員を受け入れて行う研修のケースでは、上記の要件の全てに該当すること
・外国の国や地方公共団体に指名された申請者が、日本の援助および指導を受けて行われる研修を受けるケースでは、上記の要件の全てに該当すること
・実務研修を実行する時間は、全体の3分の2以下であること
但し、以下のいずれかに該当する場合は、全体の4分3以下の時間で実行出来ます。
更に、1と2の全てに該当する場合は、全体の5分4以下の時間で実行出来ます。
1.実務研修を4ヶ月以上行う場合
2.外国で直接関係のある研修を、過去6ヶ月以内に1ヶ月以上且つ160時間以上行った場合
■研修の終了後に再度同じ研修生を招聘する際の要件
研修ビザでは、研修期間が終了した後、再度同じ研修生を招聘することも可能ですが、その場合は通常の要件に加えて、下記の要件を満たす必要があります。
・前回の研修に関する技術や上級の技術の修得が目的であること
・前回の研修で学んだ技術等が、母国に於いても活用されていること
・前回と全く異なる業種に関する研修ではないこと