風営法1号に於ける“接待”の範囲とは?
スナック、キャバレー、待合、料亭、カフェなど…飲食店営業で、接待を伴う飲食店を営業する場合は、“風俗営業法1号営業(風営法1号)”の対象となります。
申請にあたり、様々な要件がありますが、この“接待”にスポットを当ててみます。
■風営法上での“接待”の定義
風営法上での接待の定義は、“歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと”とされています。
正直、この条文上の定義だけ見ると、何だかよく分かりませんね。
そこで、風営法上での接待の解釈や判断基準などを、より具体的に書いていきます。
■接待にあたるケースとは
主に、特定の客やグループに対し、単なる飲食行為に通常伴う役務の提供を超える程度の会話やサービス等を指します。
もう少し具体的に説明すると、下記のようなケースになります。
・談笑、お酌等特定少数の客の近くに座り、継続的に談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為
・特定少数の客に対して、客室や客室内の区画された場所において、ショー、歌や踊り、楽器演奏を見せたり聴かせる行為
・特定少数の客の近く座り、客と一緒に歌ったり手拍子を取って褒めはやしたり、一緒にダンス等をする行為
・特定少数の客と共に、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為
・客と身体を密着させたり、手を握る等の行為
このように、歓楽的雰囲気を醸し出す方法によって客をもてなしている行為は、接待と判断されます。
また、接待とは少し違う観点ですが、客席数に対して出勤しているスタッフが多かったり、指名、同伴、アフター等の制度があるような場合には、風営法1号の対象となる場合があります。
■接待にあたらないケースとは
上記の例に対して、客に“いらっしゃいませ!”と、単に声をかけたり、社交辞令として握手をしたり、カウンター越しに談笑する程度の行為は風営法1号の接待には該当しません。
こちらも具体的に説明すると、下記のようなケースになります。
・お酌をしたり水割りを作るが、速やかにその場を立ち去ったり、客の後方で待機する場合
・カウンター内で客の注文に応じ酒類等を提供するだけで、これらに付随する社交儀礼上の挨拶を交わし、若干の世間話をする程度の行為
・ホテルのディナーショーのように不特定多数の客に対し、ショー、歌や踊り、楽器演奏を見せたり聴かせる行為
・客の近くに位置せず、不特定の客に対し歌うことを勧奨したり、不特定の客の歌に対し拍手をしたり褒めはやす行為
・不特定の客から、カラオケの準備の依頼を受けたり、歌の伴奏のため楽器を演奏する行為
・客1人か客同士で、遊戯、ゲーム、競技等を行わせる行為
・単に飲食物を運搬したり食器を片付ける行為
・社交儀礼上の握手や酔客の介抱のために必要な限度での接触、客の荷物等を預かる行為
如何でしょうか…。
明確な線引きのない部分でもあるので、判断が難しいケースもありますが、接待とみなされる可能性があるならば、風営法1号の許可を取得しておくことも、より確実な対策ではないかと思います。