留学生が学校を退学したら在留資格はどうなる?
今回は、小紅書(REDBOOK)からも、実際にご相談を頂くケースについて書いてみます。
留学ビザで日本にいる留学生が、学校を卒業ではなく退学してしまった場合、その在留資格はどうなってしまうのか?
この場合、退学によって在留資格“留学”は失効します。
たとえ余っている在留期間があったとしても、退学した時点で消えるため、原則として速やかに帰国しなければなりません。
本来、在留資格は外国人の方が、日本に滞在する際の活動目的に対応しています。
ですので、学校を退学してしまうと“留学”の活動要件を満たしていないと判断されるため、滞在可能期間が残っていたとしても、日本に滞在し続けることは出来ません。
そして、帰国後に日本へ再入国するには、新たな活動に応じた別の在留資格を取得しなければいけません。
仮に、退学後も在留資格“留学”のまま、日本に3ヶ月以上滞在し続けると、在留資格が取り消されてしまいます。
更には、強制退去処分になる可能性もあり、そうなった場合には、その後5年間は日本への入国が許可されないので、注意が必要です。
■退学以外のケースでは?
退学以外にも、休学や除籍でも同じような処遇になります。
ただし、休学に関しては、正当な理由がある場合のみ、在留資格の取り消し対象から除外される場合もあります。
その正当な理由の例としては、下記のようなケースがあります。
・病気治療等のため長期間の入院が必要で、止むを得ず休学して、且つ退院後には復学する意志がある場合
・病気が原因で学校に通えない状況が長く続いていて、且つ体調が回復すれば復学する意志がある場合
ちなみに、生活費が足りず学費が払えない…などの経済的な理由による休学は、ここで言う“正当な理由”としては認めらません。
もちろん、休学中のアルバイトも出来ません。
■離脱の届出
原則として、退学をした場合は、14日以内に出入国在留管理局に“活動期間に関する届出(離脱)”を提出することになります。
この届出には、下記の種類があります。
1.離脱(所属機関から離脱)
2.移籍(所属機関の移籍)
3.離脱・移籍(所属機関からの移籍と離脱を同時に行う)
■退学後も日本に滞在したい場合は?
退学後も、引き続き日本での滞在を希望する場合は、3ヶ月以内に“留学”から、別の適切な在留資格に変更しなくてはなりません。
具体的には、“短期滞在”、“特定活動”、“就労”、“家族滞在”、“日本人の配偶者等”などが考えられます。
それぞれの活動に即した在留資格を確認し、“在留資格変更許可申請”の手続きが必要になります。
在留資格変更許可申請は、必ず退学後3ヶ月以内に手続きをしなければなりません。
在留資格を変更せずに、3ヶ月を過ぎてしまうと、在留資格が取り消されます。
■短期滞在への変更
退学後に、帰国準備などで時間が必要なときは、“短期滞在”へ変更しましょう。
日本を観光してから帰国する場合なども、同様の変更が必要です。
■特定活動への変更
留学生が、変更できる在留資格として“特定活動”があります。
しかし、日本で就職活動を行う場合の特定活動は、あくまで日本の学校を卒業していること、卒業前から就職活動をしていることが前提条件ですので、退学をした方は対象外になります。
よって、特定活動への変更は難しいと言えます。
■就労ビザへの変更
退学後に、日本の企業に就職した場合は、それぞれの就労に必要な在留資格に変更することになります。
しかし、技術・人文知識・国際業務の就労ビザは、原則として大学の卒業資格が必要です。
退学をして卒業資格がない場合は、取得が難しいですが、母国や外国で大学を卒業していれば、就労ビザを取得できる可能性はあります。
すでに就職先が決まっている場合は、就職先の企業に相談をして準備を進めることになります。
■家族滞在、日本人の配偶者等への変更
例えば、留学中に日本人と結婚した場合は、“日本人の配偶者等”のビザ取得が可能です。
また、ご本人が在留資格を有している外国人の扶養家族である場合であれば、“家族滞在”のビザ取得が可能です。
留学生それぞれに事情はあるとしても、退学をしてしまうと、その後の在留資格の変更申請に大きな影響が出てしまいます。
退学を考えてる方は、これらの点を踏まえ、慎重に決めることをお勧めします。