深夜酒類提供飲食店営業の10%ルールとは?

深夜酒類提供飲食店営業のお店に、ゲーム機が設置されているのを見かけたことがある方もいらっしゃると思います。
実は、あれにも厳格なルールがあります。
今回は、深夜酒類提供飲食店営業のお店にゲーム機等を置く場合の10%ルールいついて書いていきます。

■そもそも10%ルールって?
酒類提供飲食店営業を行うお店に、娯楽用のゲームやスロットマシンなどを設置するのは、お客さんが単にお酒を飲んで談笑する以外にも楽しめる娯楽の選択肢になるのは、言うまでもありません。
ただ、本来ゲーム機等を設置したり…ゲームセンターを営業するとなると、風営法の規制の対象になり、風営法5号営業許可を得なければならないと考えられます。
しかし、お店の片隅にしかゲーム機を設置しないようなケースでも、風営法の規制を受けるとなると、やや不自然な感じもしますね。
だとしたら、ショッピングモール等の一角に設置してある、子供向けのゲーム機などをよく見かけますが、これも風俗営業なのか?ということになってしまいます。
そこで登場するのが、この“10%ルール”
ゲーム機等の床面積が、店内の客室面積の10%を超えなければ、風営法の規制を受けない
つまり、許可を得る必要がないということです。

■射幸心の有無とは?
10%ルールにも、注意すべき点があります。
ルーレットやスロット、ポーカーゲーム、バカラ等を設置する“カジノバー”を営業する場合は、“ゲームセンター”の扱いになるため、5号営業の許可が必要です。
理由は、上記のようなゲームは、射幸心をそそる恐れがあるために、賭博を誘発したり、少年のたまり場となってしまう可能性があると考えられているためです。

具体的に、風営法の規制対象になるゲームは、ディーラーを配置して行うテーブルでのルーレットやポーカー等のトランプ遊技や、フリッパーゲーム機、スロットマシン、テレビゲーム等になります。
“射幸心のないゲーム機”の具体例としては、ドライブ系のゲーム、パンチングマシン、投球速度計測ゲーム、プリクラ、占い機等です。

■10%ルールの要注意事項
一般的に、風営法の規制対象となっているゲーム機でも、客室全体の面積に対して10%以内であれば、規制の対象外とするのが“10%ルール”。
例えば、1台のゲーム機の占める床面積の3倍が1.5㎡に満たない場合は、1.5㎡として計算します。
1.5㎡と算出されたゲーム機を設置した場合、客室全体の面積が15㎡以上であれば5号営業許可は不要になります。
ただ、設備的な要件では5号営業の対象外となっても、風営法で他にも定められている客引きや、22時以降の18歳未満の立入などは、当然禁止となります。
また、従業員がお客さんと一緒にゲームを楽しんだり勧めたりする行為は“接待”とみなされ、風営法1号営業の対象となります。
更には、ポーカーテーブルを置く場合も、同様に要注意です。
お店側がディーラーを配置して、積極的に遊ばせる場合も、風営法の規制に該当します。
これに対して、ディーラーを置かずに、単にポーカーテーブルを置いて、お客さん同士が遊ぶという形態であれば、10%ルールが適用されます。

■ダーツバーとシミュレーションゴルフ
酒類提供飲食店営業のお店に、ダーツバーがありますが、こちらは10%ルールの対象外で、風営法の規制は受けません。
また、シミュレーションゴルフについても同様です。
大まかな理由としては、デジタルダーツについては、プロ選手による競技が行われていることもあり、シミュレーションゴルフについては、ゴルフ練習のために活用されているためです。
スポーツ競技に近い感覚で、射幸心をそそる恐れがないような状況であれば、対象外になります。

しかし、ここでも注意点があります。
10%ルール対象外となるには、下記の要件を満たす必要があります。
・従業員が目視やモニターで、常に状況を把握出来るようにすること
・他のゲーム類と混在して設置する場合は10%ルールが適用される
・接待にあたる行為は禁止
・賭博や少年のたまり場にならないようにすること

いずれもゲーム自体が賭けの対象になったり、射幸心をそそることのないように、従業員が目視やモニター等で、常に監視出来るようにしなければなりません。
ダーツとシミュレーションゴルフの10%ルールについては、下記の通達も参照下さい。
https://www.npa.go.jp/laws/notification/seian/hoan/hoan20180921-2.pdf