民泊運営スタートの流れと、想定されるコスト
民泊をスタートするには、手続きだけでなく様々な準備が必要になります。
そこで、運営開始の大よその流れをイメージ出来るよう、まとめてみます。
■基本的なコンセプトを定め、エリアと物件を検討
オーナーご自身が所有されている物件の場合は、物件探しもエリア選定も無関係になりますが、これから物件を探す方にとって、エリアはとても重要です。
民泊事業を成功するカギになると言っても過言ではないでしょう。
しかし、都心部や便利な立地であれば、何処でもいいのか?というワケではありません。
アクセスの良さを重視するか、観光地やリゾートのテイストを重視するのかで、狙うエリアも変わってきますので、まずは基本的なコンセプトを定めてから、それにマッチするエリアを定めていくことが、重要かと思います。
そして物件もしかりですね。
アクセスを重視して、マンションの1室を民泊施設として使うのか。
リゾート感を重視して、敢えて自然豊かな山奥の一軒家などにするのか。
これも、やはりコンセプトに沿った物件であることがベストです。
立地の部分では、周辺の施設の充実も、大きなアピールポイントになります。
民泊の場合、宿泊中に料理するゲストも多いので、近くにスーパーなど、買い物が出来る環境だと、なお利便性が上がります。
一点、マンションを賃貸契約によって使う場合は、予めオーナーに“転貸が可能か”、“民泊利用が可能か”等の許諾を確実に取る。
分譲マンションの場合でしたら、マンションの管理組合に許可を取る。
ここを怠ると、後々大きなトラブルに発展しますので、“事前に許可を得る”というのは鉄則です。
それは、周辺住民に対しても同様です。
単なる賃貸マンションかと思ってたら、周辺住民が知らないうちに民泊施設となっていて、その利用客との生活トラブルで問題になっているケースも実際にあります。
■施設を充実させる
民泊の物件は、やはりゲストに魅力的だと感じて貰えるかが、大きなポイントです。
部屋の清潔感は言うまでもありませんが、それを大前提として、オシャレであったり、使いやすさを追求したり…それぞれのコンセプトに合わせて独自のカラーを形にするのが理想ですね。
最近のマンション等の場合は、あまり当てはまらないかもしれませんが、例えば古い一軒家を民泊利用する場合、いくらロケーションが素晴らしくても、ボロボロに劣化した部屋ですと、なかなか支持を得られません。
必要に応じて壁紙や床の張り替えも必要ですが、最も注力すべきは水回りだと思います。
水回りの設備は、出来るだけ新しいものにした方が、ゲストからの評価を得ることが出来るでしょう。
更に、海外の方の利用が見込まれる施設であれば、トイレは洋式一択だと思います。
海外の利用者が多くないとしても、和式トイレは極力避けた方がいいですね。
それと、民泊を運営するには自動火災報知機や誘導灯といった消防設備、Wi-Fiなどの通信設備も必須になりますので、そういう意味では、初期投資としてのコストはある程度かかってしまいます。
実際に、民泊運営の相談を頂く中でも、この初期費用がネックになっているかな?と感じるケースが多いです。
■届出や申請を行う
物件が整ったら、開業許可申請や届出を行います。
民泊新法の場合は、民泊制度ポータルサイト又は保健所に届出を行います。
基本的に、1年間の宿泊日数が180日以内という制限がありますが、自治体によっては金土日祝のみ営業が可能など…ローカルルールが存在していますので、都度確認が必要です。
例えば、マンションの3部屋(世帯)を民泊新法で届出る場合、3部屋まとめて1件の届出も可能です。
しかし、この場合ですと、3部屋で年間180日までしか営業が出来ませんので、1部屋あたり年間60日ということになります。
ですので、各部屋で180日フル稼働させたい場合が、1部屋ずつ書類を揃えて別々に届出をする必要があります。
対して、旅館業法の民泊は簡易宿所営業の許可を取得することになります。
この場合は、届出ではなく申請ですので、許可を得なければなりません。
図面なども含め必要書類は、民泊新法よりも多くなります。
例えば、マンションの3部屋(世帯)を旅館業法での民泊申請をする場合、1部屋ずつ独立した“旅館”として申請する必要があります。
マンション1棟丸ごとではなく、その中の数部屋ですと、まとめて1つの民泊施設という扱いにはなりません。
民泊新法の届出と違い、旅館業法の申請には、1申請毎に法定手数料(22,000円~)が必要になりますので、ここでのコストも頭に入れておく必要がありそうです。
ちなみに、どちらの民泊でも、消防署や保健所に事前相談があり、備えるべき設備や書類などを具体的に指示してくれます。
そして、現地調査なども入ります。
■届出や申請をクリアしたら…
諸々の準備が整いましたら、民泊サイトに登録しましょう。
AirbnbやSTAY JAPANなどの民泊サイトに、物件情報を掲載し、集客をスタートさせます。
海外の利用客をターゲットにする場合は、日本語以外の言語での紹介も必須ですね。
更に、ウェルカムガイド(案内冊子)なども準備しましょう。
ウェルカムガイドを作成することで、ゲストが快適に利用出来るだけでなく、トラブルの防止としても有効です。
例えば、靴をはいて部屋に入る習慣のある国の方には、部屋では土足禁止等…日本でのルールと記載しておけば、無用なトラブルを回避して、お互いに気持ち良く利用することが出来ます。
かばしま行政書士事務所では、民泊の管理業者のご紹介も承ります。
また、東京の都市部に限らず、箱根町、湯河原町、小田原市、熱海市方面の方々からのお問い合わせも多く頂いておりますが、どの地域でも迅速に対応させて頂きますので、お気軽にご相談下さい!!