民泊事業のゴミは、どの分類の廃棄物?

今回は、民泊営業で排出されるゴミの処理についてのお話し。
通常、ゴミは大きく分けて“産業廃棄物”“一般廃棄物”に分類されます。
民泊事業は、宿泊事業にあたるので、排出されたゴミは一般廃棄物の中にある“事業系ゴミ”という分類になります。
この事業系ゴミを、家庭ゴミとして出してしまうと、事業の運営者は廃棄物処理法違反に問われる可能性があります。
廃棄物処理法違反の罰則は“5年以下の懲役、若しくは1千万円以下の罰金、又はその両方”と、なかなか厳しい定めがあります。
特に、民泊新法による民泊では、管理業者への委託が義務付けられていますが、的確なゴミ処理という部分も、この管理業の大きな要素になっています。

■事業系ゴミの処理方法は?
では、この事業系ゴミは、どう処理していけばいいのか?
大きく5つのセクションに分けて解説します。

1.事業系の有料ゴミ処理券の購入と貼り付け
事業系ゴミを自治体に回収して貰う際は、該当する自治体のスーパーやコンビニ等で“事業系有料ゴミ処理券”を購入し、貼り付けなければなりません。
各自治体によって違いはありますが、少なくとも東京23区や神奈川県では、全てで処理券が必要です。
処理券の料金は、自治体により大きく違うため、それぞれで確認しましょう。
しかし、1回の上限排出量が決まっているので、ゴミの重さや体積によっては注意が必要です。
また、自治体によっては処理券ではなく指定のゴミ袋を使用する場合等もあります。
更には、事業系ゴミを回収しない地域もありますので、各自治体の“ローカルルール”を確認しておくのが大切です。

2.事業運営者自身で処理施設へ搬入
例えば、ゴミの排出量が多い場合等、民泊事業者が自ら廃棄物処理施設へ搬入することも可能です。
各自治体のホームページ等で搬入方法を確認し、申請・登録を行います。
施設に持ち込む際は、ゴミを車両に積んだ状態と降ろした状態の、計2回の重量を計測します。
その計測結果に合わせて、排出量に応じて決められた処理手数料を支払います。
搬入の車両も必要ですし、運搬の手間もかかりますが、回収日時に縛られることなく持ち込める上に、コストも削減出来るところが、最大のメリットだと思います。

3.廃棄物処理業許可業者への委託
民泊営業に付随する業務に追われて、なかなか自分でゴミを運んだり、手続きに走り回ったりする時間がない民泊事業者の方も多いと思います。
その場合には、自治体から許可を受けた廃棄物処理業者への委託という選択肢もあります。
費用は、それぞれの地域の廃棄物処理業者にもよりますが、大よそ月額10,000~50,000円程度と言われています。
ゴミの種別で見ると、可燃ゴミが月額5,000~20,000円、不燃ゴミが月額10,000~30,000円が目安とされており、定期契約等をすると、週1回の回収で10,000円前後というのが、平均的な価格のようです。
しかしながら、あくまで価格は業者によってまちまちですので、廃棄物処理業者選びというのも慎重に見定めていく必要があります。
何より、廃棄物処理業許可業者へ委託するメリットは、民泊施設までゴミを回収しに来てくれるというところでしょう。

4.民泊清掃代行業者の利用
清掃やゴミ処理の部分のみを依頼したい場合は、民泊清掃代行業者というのがあります。
利用料金は、部屋の広さや利用人数、間取り等によって違いますので、各業者への確認が必須です。

5.民泊運営代行業者との契約
ゴミ処理や清掃のみならず、管理全般を任せたい場合や複数物件を運営していたり、また物件そのものが遠方にある場合等には、この管理業者への委託がポピュラーな形の1つだと思います。
料金設定は、業者により違いますが、大よその相場としては、売上の15~25%くらいが一般的でしょうか。
コスト面では、やや負担があるものの、やはり最大のメリットとしては、利用客のトラブル対応や処理、近隣住民への対応等、民泊運営のあらゆる業務を引き受けてくれるので、本来の事業活動に集中できるところです。

■民泊運営に於けるゴミ処理の注意点
ゴミ処理の問題で、行政からの指導や近隣住民とのトラブルを回避するため、幾つかの注意すべき事項があります。

1.委託は、行政からの正式に許可を受けた業者に!
ゴミ処理を業者に委託する場合は、必ず自治体から正式に許可を受けた業者にしましょう。
中には、無許可で営業している業者も存在します。
たとえ無許可だったと知らなかったとしても、(無許可業者への委託は)法令違反にあたるため、民泊事業者が罰則対象になる可能性もあります。

2.ゴミの排出量や処理状況を把握する
ゴミ処理の費用は、基本的にゴミの排出量で決まるケースが大半です。
これまでの大よそのゴミ排出量や処理履歴、支払い実績等を記録することで、コストの管理にも役に立ちます。

3.利用客へのゴミ捨てルールの明文化
利用客にゴミ捨てのルールやマナーを徹底して貰うことも、とても大切です。
先日も、民泊施設をゴミだらけにして帰った利用客のニュースがありましたが、特に日本のゴミ分別に対して、馴染みのない外国人の利用客等には、多言語での説明や注意書きが必須と言えます。
プラス、外国人利用客が理解しやすいように、ゴミ箱の数や設置場所を考えるのも、有効な対策の1つだと言えます。
可能であれば、チェックイン時等に、しっかりコミュニケーションを取りながら説明するのもよいかと思います。

かばしま行政書士事務所では、民泊の管理業者のご紹介も承ります。
また、東京の都市部に限らず、箱根町、湯河原町、小田原市、熱海市方面の方々からのお問い合わせも多く頂いておりますが、どの地域でも迅速に対応させて頂きますので、お気軽にご相談下さい!!