技術・人文知識・国際業務のビザ取得で重要な要件とは?
19種類ある就労ビザの中で、ポピュラーなものの1つとされる“技術・人文知識・国際業務”。
この“技人国”で、ビザ取得のための要件のうち、特に重要なものを書いていきます。
■学歴(履修科目)と業務内容の関連性
外国人が大学や専門学校で履修した専門的な技術や知識が確かなものであっても、業務内容との関連性がないと申請が許可されません。
なので、履修した科目と関連性がある業務であることを、成績証明書などを元に証明していくことになります。
“関連性”については、大学における専攻課程を履修した方は、比較的緩やかに判断される一方で、専修学校等では業務との関連性がより厳格に審査される傾向にあります。
■外国人本人の学歴または職歴
・学歴について
技人国のビザを取得するためには、一定の学歴か(学歴の要件を満たさない場合は)一定の職務経験が必要になります。
判断が難しい国内の教育機関については、日本語学校や専門学校があります。
基本的に、日本語学校は技人国ビザの取得で必要な学歴にはなりません。
※日本語学校でも、日本語の専門課程を修了していれば、学歴要件を満たす場合もあります。
もう1つ、専門学校については、日本の専門課程を修了し、専攻内容と職務内容の関連性が極めて高い場合は、学歴要件を満たし得ます。
また、翻訳や通訳業務、民間の語学教師などの国際業務については、実務経験がなく、大学(大学院等)で語学等を専攻していなくてもビザを取得出来る可能性があります。
更には、日本高等専門学校を卒業して、準学士を取得した場合や、省庁大学校、防衛大学校を卒業した場合等も学歴要件を満たします。
海外の教育機関については、本国の高校や専門学校卒業では学歴要件は満たさないため、本国や海外の大学へ進学するか、日本へ留学し学位を取得する必要があります。
・職歴について
職歴については、実務経験が10年(業務によっては3年)以上が必要となります。
この10年の内訳は、企業等で実際に働いた期間はもちろんのこと、大学や高等学校、中等教育学校の後期課程や専修学校等で関連する科目を専攻した期間も10年の期間にカウントされます。
職歴の証明方法としては、過去に勤務した機関(企業)から在職証明書を入手して証明していく必要があります。
しかし、その機関の状況によっては証明書の入手が困難になるケースもあり、ビザ取得の障害となり得ます。
また、この在職証明書のみでは、証明する力が乏しいと判断される場合もありますので、その場合は公正証書にしたり、在籍時の給与明細や職場での写真など…可能な限りの方法で説得力を強くしていく必要があります。
■受け入れ企業の経営状態
出入国在留管理庁局は、外国人本人の審査以外に、受け入れ先の機関(会社)についても経営状態が安定しているか、外国人を受け入れる基盤が備わっているかなどを審査します。
既存の会社であれば決算書の提出、新設の会社で決算書がない場合は、事業計画書等を提出します。
また、直近の決算が赤字決算の場合も、事業計画書が必要になります。
赤字から黒字化するための今後の具体的な方策を打ち出すことになります。
しかし、これが債務超過となると許可の取得が、かなり難しくなると思います。
■雇用の必要性と業務量
外国人本人の専攻との関連性が十分な業務でも、その機関(会社)での採用の必要性が乏しい場合や、十分な業務量が見込まれない場合などは許可が出ません。
例えば、経理と経営学等を専攻した上で、コンビニの店長として雇用したい場合でも、業務量的に1店舗のみの店長では、許可は出ないと言われています。
■給与の水準
報酬についても、国籍による不当な格差をつけることが禁じられており、同じ職務に就く日本人社員と同等かそれ以上の報酬額が必要となります。
この場合の“報酬”は、役務の給付の対価を意味し、通勤手当や住宅手当、扶養手当などは含まれません。
また退職金や見舞金、食費や制服などの現物給付としての費用は、福利厚生的なものは報酬に含まれませんが、就業規則や労働契約等で支給条件として明確に定められている場合は、報酬に含まれます。
■外国人本人の素行
外国人本人に、退去強制や逮捕歴、犯罪歴等がないかを審査します。
また、留学生の場合は、オーバーワーク(週28時間以上のアルバイトをしていた等)の有無も厳格に審査されます。
つまり資格外活動許可を得て許可された就労時間内でアルバイトをしていたかということです。
つまり、在留資格の範囲を超える活動をしていないか?という点も、ビザの申請においては重要な審査の対象になります。
他にも審査のポイントとなるものはありますが、上記のようなことを総合的に審査して、許可・不許可の判断が下されます。
それぞれの要件に於いての整合性を書面で立証していくことになります。
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