【帰化申請】その種類と基本的な要件とは?
当事務所サイトの業務ページにも記載していますが、帰化とは外国人が日本人になるための手続きで、“普通帰化”、“簡易帰化”、“大帰化”の3種類があり、それぞれ要件に違いがあります。
※大帰化については、これまでに認められたケースがないので、ここでの説明は省略します。
まずは、一般的な帰化申請とされる“普通帰化”の要件としては、下記の7つの要件を満たす必要があります。
1. 住所要件
引き続き5年以上日本に住所があり、そのうち3年以上就労していることが必要です。
この“引き続き”の判断としては、一般的に1度の出国日数が大よそ3ヶ月以上であるかが基準の1つになりますので、あまり頻繁に長い期間の出国があると、審査に影響する可能性が高いです。
2. 能力要件
18歳以上で本国法によって行為能力があることが必要です。
ただ、父または母と一緒に帰化申請する場合は、未成年でも申請が可能です。
これは、国籍法第8条1号にある、父または母の帰化が許可された場合、その子は日本国民の子となるからです。
3. 素行要件
素行が善良であることが必要です。
具体的には、前科や犯罪歴、交通違反がないことや、年金や税金の未納がないことが審査されます。
交通違反に関しては、大よその目安として過去5年間で、軽微な違反5回以内であれば問題はありません。
仮に、5回以上だとしても、それだけで不許可にはなりませんが、プラスの要素にはなりません。
また、飲酒運転などでの重い交通違反は、印象としても不利になるので、相当の期間が経過しないと帰化が認められません。
4. 生計要件
申請者自身又は配偶者や親族の資産等によって生計を営むことができることが必要です。
毎月の収入が、会社員の方で最低月18万円以上であれば問題ないとされています。
貯金や資産については、それほど多くなくても審査には直接関係ありません。
また、住宅ローン、自動車ローン、クレジットカードの借り入れなど、いわゆる借金については、返済を滞りなく行っていれば問題ありません。
自己破産をした方は、7年経過していることが必要です。
5. 重国籍防止要件
日本は二重国籍を認めていないため、帰化の申請が許可されて日本国籍を取得した場合は、母国の国籍を失うことが出来るか、若しくは離脱することが出来なければなりません。
国籍離脱について規制がある国の方は、事前に母国の要件を確認しておいた方がいいです。
6. 憲法遵守要件(思想要件)
日本を破壊するような考え、行為がないことが必要です。
テロリストや、暴力団構成員などが該当します。
7. 日本語能力要件
※日本語能力要件については、法定されていませんが、実際には必要とされる要件になります。
日常生活に支障のない程度の日本語能力を有していることが必要です。
目安としては、小学校3・4年生くらい、日本語能力試験で3級くらいの日本語能力があれば問題はないとされています。
面談時の審査官の判断により、日本語のテストを実施する場合もありますが、(面接時に)日本語での会話がでスムーズじゃないかな?という印象を持たれた場合などに実施されるケースが多いようです。
続きまして“簡易帰化”の要件は…
下記の条件に当てはまる場合に、普通帰化で挙げた要件が免除または緩和されます。
1. 日本国民であった者の子(養子を除く)で、引き続き3年以上日本に住所または居所を有すること
2. 日本で生まれた者で、引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く)が日本で生まれたことた者
3. 引き続き10年以上日本に居所を有する者
4. 日本国民の配偶者である外国人で、引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、且つ現に日本に住所を有するもの
※住居要件と能力要件が緩和されます
5. 日本国民の配偶者である外国人で、婚姻の日から3年を経過し、且つ引き続き1年以上日本に住所を有するもの
※住居要件と能力要件が緩和されます
6. 日本国民の子(養子を除く)で、日本に住所を有するもの
※両親が先に帰化して日本国籍と取得後に、子供が帰化するケースなどです。
日本人の子である者で、日本国籍を選ばなかったが、後に帰化する場合なども該当します。
※能力要件と生計要件が免除されます
7. 日本国民の養子で、引き続き1年以上日本に住所を有し、且つ縁組の時点で本国法により未成年であった者
※未成年の時に、親の再婚等により連れ子として日本に来た外国人で、来日の時に義理の父又は母と養子縁組をしたようなケースです。
※能力要件と生計要件が免除されます
8. 日本の国籍を失った者(日本に帰化後、日本の国籍を失った者を除く)で日本に住所を有するもの
※能力要件と生計要件が免除されます
9. 日本で生まれ、且つ出生の時から国籍を有しない者で、その時から引き続き3年以上日本に住所を有するもの
※能力要件と生計要件が免除されます
以上が、帰化に於ける基本的な要件になります。
帰化については用意する書類も多く、手続きも長期に及ぶため、入念な準備と素行の維持も重要になってきます。
当事務所では、帰化申請の案件を受任しておりますので、どうぞお気軽にご相談下さい。