在留資格と査証の違い
今回は、ビザの基本に立ち返り、在留資格と査証の違いについて書いてみます。
一般的に、在留資格のことを“ビザ”と呼んでいますが、ビザとは本来“査証”のことを指し、在留資格とは別のものです。
当事務所のサイトでも、一般的な呼び名として、在留資格のことを“ビザ”とさせて頂いています。
■査証とは…
査証とは、海外にいる外国人が日本へ入国許可を求めるためのもので、外務省が発行し上陸審査の際に使用されます。
したがって、入国審査が終わると必然的に無効になります。
言わば、パスポートが有効であり、申請人を日本に入国させても問題ないという、本国にある日本大使館や日本総領事館在外公館からの推薦状のような存在です。
査証が発給されると、パスポートに顔写真入りの“日本国査証シール”が添付されます。
ただ、この査証は、あくまでも外務省からの推薦状という位置付けなため、出入国在留管理局とは、別の審査主体になります。
ですので、査証が発給されたとしても、日本への入国を100%保証するものではありません。
※日本へ入国して何かしらの活動を行う場合には、査証と在留資格の両方の取得が必要になります。
■査証の種類
査証の申請は、外国人ご本人が本国の在外公館にて申請します。
例えば、フィリピンなど…国によっては混雑を回避するために、旅行会社などの外部委託機関が本人に代わって、代理申請することもあります。
審査の結果、不発給になった場合は、再度同じ目的で申請をしても6ヶ月間は受付けて貰えません。
・シングルビザ(一次有効ビザ)
査証に記載されている“SINGLE”、“MULTIPLE”のうち“SINGLE”と記載されている場合は、定められた期間内に一度だけ日本に入国出来ることを意味します。
・マルチビザ(数次有効ビザ)
“SINGLE”、“MULTIPLE”のうち“MULTIPLE”の記載がある場合は、定められた期間内であれば、何度でも日本に入国出来ることを意味します。
また、マルチビザ持っている方は、日本から海外へ出国する場合に、在留カードがなくても再入国許可を申請する必要がありません。
シングルかマルチかは、査証の申請時に選択出来ますが、それぞれに手数料が異なります。
それぞれ邦貨換算で、シングルは約3,000円、 マルチは約6,000円になります。
■在留資格(ビザ)とは…
在留資格(ビザ)とは、“日本で合法的に滞在・活動するために必要な資格”を意味します。
出入国管理及び難民認定法(入管法)による在留に関する資格で、全29種類を定めています。
在留資格を大きく分けると、就労系・非就労系があり、就労系では活動内容や在留期間などの制限を受ける在留資格“活動資格”や、活動制限の少ない身分又は地位に基づく在留資格“居住資格”等があり、前者が一般的には“就労ビザ”と呼ばれます。
この在留資格(ビザ)によって、日本国内で可能な活動内容や活動範囲が決められます。
よって、1人が保有出来る在留資格は1種類だけということになります。
査証と大きく違うのは、在留資格(ビザ)は、日本への入国後に滞在・活動するために必要な資格という点です。
そして、申請先は日本の出入国在留管理局になります。