在留特別許可申請について
■在留特別許可とは
在留特別許可は、法律違反などの様々な事由により日本での在留が好ましくないと判断された者に対して、日本からの退去を命じる…いわゆる退去強制とされた外国人に対して、法務大臣が特別に在留を認める制度です。
在留特別許可は、退去される外国人に対して、法務大臣が例外的・恩恵的に在留を許可する措置であり、在留特別許可をするかどうかについては、個々の事案ごとに諸般の事情を総合的に考慮した上で判断されます。
下記のいずれかに該当する場合は、外国人からの申請又は職権により、在留を特別に許可出来るとされています。
・永住許可を受けているとき(入管法第50条第1項第1号)
・かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき(同項第2号)
・人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき(同項第3号)
・難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けているとき(同項第4号)
・その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき(同項第5号)
■在留特別許可申請の流れ
1.出入国在留管理局へ出頭
外国人が出入国在留管理局へ出頭し、法令違反を犯した内容を申告し、日本に引き続き在留が必要であることを証明する書類などを提出します。
2.入国警備官による違反調査
外国人の申告や提出書類について、入国警備官が違反調査を行います。
提出書類等の確認や、事情聴取を行った上で、容疑の有無を判定されます。
ここで“容疑なし”と判定された場合は、在留継続が認められることになります。
しかし、“容疑あり”と判定された場合は、入国審査官への引き渡しが行われ、収容施設へ送還されるか、入国警備官へ差し戻され出国命令対象者として出国となります。
※外国人が収容施設へ送還された場合は、出入国在留管理局に対して仮放免の手続きを行い、一時的に収容を免除して貰うことが可能です。
仮放免が認められても、保証金の納付が必要です。
3.入国審査官による違反調査
施設に収容後、入国審査官による違反審査が行われます。
入国審査官の審査により、退去強制に該当しないと判定されたら在留を認められます。
しかし、退去強制に該当すると判定された場合は、出国命令対象者として収容施設から出国命令が下されます。
判定は誤ってはいないものの、日本での在留を特別に認めて貰いたいと希望するときは、在留特別許可の申請が出来ます。
なお、退去強制に該当した場合は、異議の申し出が可能です。
4.口頭審理の請求
審議の結果に不服がある場合は、認定通知書の交付より3日以内に特別審理官(法務大臣が指定する上級の入国審査官)に対して口頭審理の請求を行うことが出来ます。
※事前の申請を行えば、日本人配偶者や親族の立ち合いも許可されます。
5.異議の申出
更に、特別審理官の判定に不服がある場合は、判定の通知を受けた日から3日以内に不服の事由を記載した書面を主任審査官に提出して、法務大臣に対し最終的な判断を求めることが出来ます。
異議の申出は、特別審理官のさらに上級の入国審査官である主任審査官が、法務大臣に書類を送付して行います。
6.法務大臣による裁決
異議の申出を受理した法務大臣は、直接容疑者を取り調べることはしませんが、入国警備官の違反調査、入国審査官の違反審査、そして特別審理官の口頭審理という一連の手続で作成された証拠(事件記録)を調べた上で、裁決をします。
この裁決により、外国人の在留を許可する事情が認められた場合は、“在留特別許可”となります。
対して、不許可の判定が出た場合は、退去強制令書が発行され、退去強制されることになります。