単純労働も可能な就労系ビザ“特定活動46号”

今回は、小紅書(REDBOOK)などで、中国の方からも多くの質問やお問い合わせを頂いており、関心の高さを感じる“特定活動46号”についてあれこれ書いてみます。

■特定活動46号とは?
特定活動46号は、2019年に特定活動の1つとして新たに追加された在留資格。
高い日本語能力を持ち、日本の大学等を卒業した留学生に限り、接客業や製造現場など一般的な就労ビザである技術・人文知識・国際業務ビザでは認められていない、いわゆる単純労働でも、従事することが許可される就労ビザです。
※ただし、単純労働のみを行うことは出来ません。

また、従来は日本の4年制大学又は大学院を卒業・修了し、学位を授与された者が対象となり、短期大学や専門学校卒業では認められていませんでした。
しかし、2024年2月29日の法改正により、日本の短期大学の卒業生、高等専門学校の卒業生、一定の専門学校の卒業生にも適応されることになり、対象者の枠が広がっています。

■特定活動46号の取得要件
どのような要件を満たせば、特定活動46号が取得出来るのか…を見ていきます。
取得には大きく分けて、下記の4つの要件があります。
1.学歴要件
下記のいずれかに該当する必要があります。
・日本の4年制大学又は大学院を卒業・修了し、学位を授与された者
・日本の短期大学、専門職大学の前期課程修了者、高等専門学校を卒業していて、且つ独立行政法人大学改革支援・学位授与機構から学士の学位を授与された者
・日本の認定を受けている専門学校を卒業して、高度専門士の称号を付与された者
※認定を受けた専門学校とは、“専修学校の専門課程における外国人留学生キャリア形成促進プログラム”の認定を受けている専門学校を指します。
詳しくは、下記のリンクを参照下さい。
●外国人留学生キャリア形成促進プログラムについて
https://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/senshuu/1412546_00015.htm

●認定を受けた専修学校の一覧
https://www.mext.go.jp/content/20240417-mxt_syogai01-000034602-2.pdf

2.日本語能力要件
下記のいずれかに該当する必要があります。
・日本語能力検定N1に合格していること
・BJTビジネス日本語能力テスト480点以上に合格していること
・大学又は大学院において日本語を専攻して卒業していること
※外国の大学に於ける日本語専攻でも問題ありませんが、この場合は更に日本の大学若しくは大学院を卒業する必要があります。

■転職等をする場合に必要な手続き
就業場所については“法務大臣が指定する本邦の公私の機関”と定められています。
特定活動46号では、パスポートに添付される指定書に、就業場所も指定されます。
よって、そこで指定された場所以外での就労は出来ないため、転職等をする場合は、在留資格変更手続きが必要になります。

■特定活動46号で可能な業務内容
特定活動46号を取得して就労する場合、その業務に対する必須事項は下記の2つです。
・日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務
・日本の大学又は大学院で習得した広い知識、応用的な能力を活用する業務

特定活動46号では、一般的な就労ビザである技術・人文知識・国際業務ビザでは認められていない接客業や現場労働等の単純労働にも就けますが、単純労働のみを行うことは出来ません。
あくまでメインの業務に付随する範囲での単純労働ということになります。
特定活動46号は、技術・人文知識・国際業務ビザを基本としており、技人国ビザで行うことができる業務内容が含まれていることが必要です。
ただし、求められている学歴や日本語力は、高度なものになるため、業務内容での共通点はあれど、ビザ取得へのハードルは、技人国ビザよりかなり高いと言えます。
では、業種別に具体的な業務内容を見ていきます。
・飲食業
飲食店の管理業務や通訳等の接客業務を行いながら、清掃や皿洗いなどの雑務も行う

・小売業
商品の企画や仕入れ管理、外国人客への通訳を兼ねた接客業務を行いながら、品出しや清掃業務も行う

・ホテルや旅館等の宿泊業
外国人向けのサイトの開設や更新管理、外国人客への通訳を兼ねた案内や接客業務などを行いながら、ドアマンや客室清掃業務も行う

・製造業
日本語を十分に理解していない外国人社員に対して日本人従業員からの指示を伝達したり、仕事の指導をする業務、労務管理や品質管理などを行いながら、製造ラインに入って作業なども行う

・介護関連業務
外国人従業員や技能実習生への指導、外国人利用者を含む利用者のケアや介護業務などを行いながら、施設内の清掃や洗濯業務も行う

・タクシー会社
タクシードライバーとして、主に外国人客への通訳を兼ねた接客や観光案内などを行いながら、車両の整備や清掃業務なども行う

■特定活動46号で就労が許されない業務
特定活動46号に限らず、全ての就労ビザでも言えることですが、風俗営業に関する業務には、一切従事することが出来ません。
ここで言う“風俗営業”とは、いわゆる性風俗関連特殊産業に限らず、パチンコ店、マージャン店、ゲームセンター、キャバクラ、ホストクラブ等、風営法に規定される業種の全てが含まれます。
それ以外にも、照度10ルクス以下のバーや喫茶店、ホステスのいる飲食店なども従事することが出来ません。

更に、風俗営業関連とは別に、業務独占資格を要する業務も従事することが出来ません。
これは、法律上資格を有する者が行うこととされている業務のことで、弁護士や司法書士、行政書士等が該当します。

■特定活動46号で必要な就業形態
特定活動46号で就業する場合の就業形態は、常勤職員のみとなっています。
つまり、正社員や契約社員での就業のみが認められ、パートやアルバイトでは不可となります。
また、就業した際には、日本人従業員と同額以上の報酬が支払われることも必要です。

■特定活動46号の在留期間
在留期間は3ヶ月、6ヶ月、1年、3年、5年のいずれかになります。
特定活動46号の場合、本人の希望、就労予定期間、雇用契約期間、就業先の規模などを総合的に判断し、それぞれ個別に設定されます。
また、特定活動46号は、何度も期間の更新が出来ます。
更新を繰り返し、一定期間を経過した上で、指定の要件を満たせば、“永住者”の取得も可能です。
この点も、特定活動46号の大きな魅力だと言えます。

■申請時に、特に注意すべきこと
申請時、特に注意が必要なのは、就労先での業務内容を明確にしておくことです。
特定活動46号の要件を満たす業務内容であるか否かは、“申請人の活動内容などを明らかにする資料”や“雇用理由書”などを元に判断されます。
ここで、明確な記載がないと不許可の要因となりますので、注意が必要です。

かばしま行政書士事務所では、特定活動46号への在留資格変更手続きのサポートも承っておりますので、お気軽にお問合せ下さい!!