帰化申請のメリットと、一般の外国人でも狙える“簡易帰化”の要件

帰化申請それぞれの要件については、別の記事で書いていますが、今回は帰化申請についてのメリットやデメリット、実務を通して感じた帰化申請のニーズの実態などを書いていきます。

■帰化申請のメリット
帰化申請をして日本国籍を取得すると、“戸籍”が新たに作成されます。
もちろん!日本国民特有の権利である、参政権や社会権なども得ることができます。
かと言って、家族で日本にいる場合に、必ずしも家族全員で帰化申請を行わなければならないワケではありません。
ただ、仮に単独での帰化申請であっても、(帰化申請をしない)同じ世帯の家族の書類で、提出が求められるもがあります。
これに対して、家族全員で同時に帰化申請をした場合は、全員で同じ戸籍に入ることが出来ます。
これによって、通常の帰化申請では母国の成人年齢に達していないと申請不可ですが、父又は母と一緒に帰化申請する場合には、未成年(お子さんなど)でも申請が可能になります。

■帰化申請のデメリット
現在、日本では毎年8,000人程の外国人が帰化申請を経て帰化していますが、審査のハードルも高く、誰でも許可が下りるわけではないので、法務局で受け付けて貰えていない方々も多く、帰化を希望する人数はかなり多いと推測されます。
実務的な部分ですと、帰化申請をするとした場合、まず法務局に予約を入れた上で、初回の相談に行くことになります。
この相談だけでも、とても混雑をしているようで、私が受任しているケースでは、7月の末に法務局へ電話した時点で、最短の予約可能日程が12月上旬でした。
実に、4ヶ月半待ちです!!
ですので、帰化申請をすると決めた場合は、すぐにこの相談の予約を入れた方がいいです。
実際に申請に動いた後でも、数回は法務局に出向いていくことになるので、ここの日程確保は、悩ましい部分かもしれません。
加えて、帰化申請については、無事に申請を終えてから審査結果待ちの平均期間が、10ヶ月~1年とされています。
かなりの長期戦を強いられることになりますので、この部分に於いては辛抱が必要になります。

■意外と見落とされている“簡易帰化”の要件
普通帰化の要件を満たしている方はさておき、一般の外国人の方でも簡易帰化を狙えるケースがあるんです。
これが意外と見落とされがちなのですが、簡易帰化の規定がある国籍法第六条三号“引き続き十年以上日本に居所を有する者”というのがあります。
簡易帰化の印象として、日本国民であった者の子、日本で生まれた者、日本国民の養子など…、“家族関係として日本に関わりの深い外国人”というのがありますが、日本に特別の所縁がない外国人の方でも、引き続き10年以上日本に居所があれば申請するチャンスがあります。
普通帰化の場合、引き続き5年以上日本に住所があることが要件ですが、加えて3年以上の就労が必要です。
ところが、簡易帰化の場合は1年程の就労で大丈夫です。
私の実務でのケースがまさにそうですが、例えば学生の頃から日本に居て、大学院などを卒業した後に就職する場合などは、まさにこの要件に該当します。
大学院をフルで卒業してから、更に3年の就労だと、相当長いですよね。
普通帰化に比べたら、少ない事例かもしれませんが、実際に関わっているケースですので、ここも1つの狙い目ではあるかと思います。