“民泊新法”3つのプレーヤーの1つ、住宅宿泊仲介業者とは?
民泊新法では、制度の一体的かつ円滑な執行を確保するため、“住宅宿泊事業者”、“住宅宿泊管理業者”、そして“住宅宿泊仲介業者”という3つのプレーヤーが位置付けられ、それぞれ役割りや義務等が定められています。
住宅宿泊事業者と住宅宿泊管理業者については、既に記事で書いていますので、ここではもう1つのプレーヤー“住宅宿泊仲介業者”にスポットを当ててみます。
■住宅宿泊仲介業とは
住宅宿泊仲介業は、旅行業法第6条の4第1項に規定する旅行業者以外の者が、報酬を得て住宅宿泊仲介業務を行う事業をいいます。
いわば、民泊を利用したい人と宿泊施設の提供者をつなぐ仲介役といえます。
民泊の予約受付や料金の決済、宿泊者との契約の締結などを専門に行い、ゲストが快適に滞在できるようサポートする役目があります。
有名なところで言うと、Airbnbなどのポータルサイトも、住宅宿泊仲介業者に分類されます。
住宅宿泊仲介業を営むには、観光庁長官の登録が必要で、5年毎にその更新をしなければなりません。
住宅宿泊仲介業者は、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出住宅しか扱うことが出来ません。
よって、旅館・ホテル等のように、届出住宅以外の物件の仲介を行うには、旅行業法に基づく旅行業者として登録する必要があります。
■住宅宿泊仲介業の業務
住宅宿泊仲介業者は、下記のような業務を担っています。
1.住宅宿泊仲介業約款の策定
住宅宿泊仲介業を行う上で、住宅宿泊仲介業務に関する約款を事前に策定する必要があります。
※住宅宿泊事業法の施行を受け、観光庁より標準住宅宿泊仲介業約款が公示されていますが、これを利用する場合は約款を策定する必要がありません。
2.住宅宿泊仲介業務に関する料金の公示
の業務の開始前に、国土交通省令で定める基準に従い、宿泊者及び住宅宿泊仲介業務に関する料金を定めて、営業所又は事務所における掲示か、インターネットによる料金の公示をする必要があります。
3.不当な勧誘等の禁止
宿泊者に対し、住宅宿泊仲介契約に関する事項で、宿泊者の判断に影響を及ぼすような重要な事実を故意に告げなかったり、事実ではないことを告げるような行為は禁止されます。
4.違法行為あっせん、公告の禁止
宿泊者の保護を図るために、(宿泊者に対し)法令違反になるような行為を実施することや、法令違反になるようなサービス提供を受けることの斡旋を禁止されます。
また、これらの行為を促すような広告を出すことも禁止されています。
5.住宅宿泊仲介契約の締結前の書面の交付
宿泊者に対し住宅宿泊仲介契約を締結するまでに、住宅宿泊仲介契約の内容及びその履行に関する下記事項について、書面を交付して説明しなければなりません。
・宿泊者が宿泊する届出住宅に関する情報
・対価と報酬に関する情報
・サービス内容に関する情報
・対価に含まれていない宿泊に関する費用
6.標識の掲示について
それぞれの営業所又は事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令で定める様式の標識を掲げる必要があります。
ただし、登録年月日、登録番号等を電磁的方法により公示出来るので、この場合は、標識の掲示義務は適用されません。
7.観光庁への定期報告
住宅宿泊仲介業者が取扱う民泊物件の適法性を確認するため、取扱う全ての民泊物件について、観光庁が指定する調査票に基づいて報告する必要があります。
住宅宿泊事業者が、客を宿泊させた日数が180日を超過していないか?
条例で制限がある場合にて、当該条例で禁止されている期間に営業が行われていないか?などの確認をするため、民泊仲介サイトに掲載されている届出物件について、毎年4月、10月の15日までに、それぞれの月の前6ヶ月分を、観光庁に報告しなければなりません。
このように、住宅宿泊仲介業者は、民泊の予約や料金の決済、宿泊者との契約の締結などを専門に行う業者です。
民泊の需要が高まる中、民泊事業者が単独で集客するのは、決して簡単ではないため、この仲介業者の存在が重要となっています。