1号営業とは…

キャバクラ、ホストクラブ、カフェなど…
“接待を伴う飲食店”を営業する場合に、この1号営業許可を取得しなければなりません。
また、風営法に規制される風俗営業に共通する要件として、“人的要件”“構造設備要件”“地域要件”の3つがあります。
ただし、風俗営業の業種や営業する地域により、要件にも違いがあるため、それぞれの独自ルールを確認する必要があります。

■接待の解釈や判断基準
風営法の規制範囲になるか否かの基準の1つに、“接待”の解釈・判断があります。
風営法上の接待の定義は、“歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと”となっています。
主に、特定の客やグループに対し、単なる飲食行為に通常伴う役務の提供を超える程度の会話やサービス行為等を指します。
もう少し具体的に接待にあたるケースを説明しますと、下記のようになります。
・談笑、お酌等特定少数の客の近くに座り、継続的に談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為
・特定少数の客に対して、客室や客室内の区画された場所において、ショー、歌や踊り、楽器演奏を見せたり聴かせる行為
・特定少数の客の近く座り、客と一緒に歌ったり手拍子を取って褒めはやしたり、一緒にダンス等をする行為
・特定少数の客と共に、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為
・客と身体を密着させたり、手を握る等の行為

これに対して、下記のような場合は、接待にはあたらないと判断されます。
・お酌をしたり水割りを作るが、速やかにその場を立ち去ったり、客の後方で待機する場合
・カウンター内で客の注文に応じ酒類等を提供するだけで、これらに付随する社交儀礼上の挨拶を交わし、若干の世間話をする程度の行為
・ホテルのディナーショーのように不特定多数の客に対し、ショー、歌や踊り、楽器演奏を見せたり聴かせる行為
・客の近くに位置せず、不特定の客に対し歌うことを勧奨したり、不特定の客の歌に対し拍手をしたり褒めはやす行為
・不特定の客から、カラオケの準備の依頼を受けたり、歌の伴奏のため楽器を演奏する行為
・客1人か客同士で、遊戯、ゲーム、競技等を行わせる行為
・単に飲食物を運搬したり食器を片付ける行為
・社交儀礼上の握手や酔客の介抱のために必要な限度での接触、客の荷物等を預かる行為

1号営業の主な要件

  1. 飲食店営業許可の取得
    1営業を行うには前提として“飲食店営業(食品衛生法)”の許可が必要です。
    よって、この許可がない場合は、申請に先立ち保健所に飲食店営業許可申請を行い営業許可通知を受け、飲食店営業許可証を受領した後に、本申請を行う必要があります。
  2. 人的要件 ※下記に該当する場合は、許可が与えられません
    ・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
    ・1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は一定の罪を犯して1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
    ・集団的に、又は常習的に暴力的不法行為等を行うおそれのある者
    ・アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
    ・心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者
    ・風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない者
    ・法人の役員、法定代理人が上記のいずれかに該当する者があるとき
    ・営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者
    ※営業者だけでなく、管理者になる方も対象となります。
    また、法人の場合は取締役の他に、役員についても対象となります。
  3. 1号営業の構造設備要件
    ・客室が複数の場合、床面積が洋室では1室16.5㎡以上、 和室では1室9.5㎡以上
    ※客室が1室のみの場合は制限なし
    ・営業所の外部から客室が見えないこと
    ・客室の内部に見通しを妨げる設備がないこと
    ※原則、高さ1メートル以上のもの
    ・善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと
    ・客室の出入口(営業所外に直接通ずる出入口は除く)に施錠の設備を設けないこと
    ・客室内の照度が5ルクスを超えること(スライダックス等の調光機能は原則として許可されない)
    ・騒音と振動の数値が条例で定める数値以下であること
  4. 地域要件
    ■風俗営業が出来ない用途地域
    ・第一種住居地域など、“住居”付く住居系地域では風俗営業は出来ません。

    ■風俗営業が可能な用途地域
    ・商業系、工業系の用途地域は原則可能ですが、営業所が住居系と商業系の2つの地域にまたがっている場合は、許可されません。

    ■保全対象施設による地域制限
    ・保全対象施設とは、風俗営業による有害な影響を受けないように、一定の距離規制による保護を受ける施設です。
    概ね、営業所から100メートルの区域を限度として、その区域内に当該施設がある場合は、許可されません。
    しかし、保全対象施設の指定や規制距離は都道府県によって異なるので、それぞれの条例を確認する必要があります。
    ※保全対象施設の駐車場も含まれる場合もあります。

    ■主な保全対象施設
    学校
    幼稚園、小・中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校など、学校教育法第1条で“学校”とされる施設。
    病院
    医療法の定義によると、病院とは医師や歯科医師が患者に医療を提供する施設のことで“患者20人以上の入院施設を有するもの”を病院と言い、その他のものを診療所と言います。
    診療所
    入床施設が0~19人まで施設を“診療所、クリニック、医院”と呼びます。
    診療所は病院と比べると規模が小さくなるので、距離規制はやや緩くなります。
    児童福祉施設
    助産施設、保育所(認可保育園)、児童養護施設、児童厚生施設などの施設。
    もう1つ、慎重な判断が必要なのが公園です。
    公園の中でも、児童遊園に該当するものは、児童厚生施設に含まれます。
    営業所の近くに公園がある場合は、都市計画課に確認を取る必要があります。
    図書館
    地方公共団体などが設置する公立の図書館、及び社団法人などが設置する私立の図書館。
    図書館の所在で注意が必要なのが別の建物の中にある図書館です。
    役所の中に図書館が存在するケースなどがありますので、細心の注意が必要です。

    ■神奈川県の地域制限
    ・住居専用地域及び住居地域
    ※但し、商業地域の周囲30メートル以内の住居地域では営業可能
    ・大学以外の学校(学校教育法第1条に掲げるもので幼稚園も含む)の敷地の周囲100m以内の地域
    ・大学、図書館、児童福祉施設、病院、診療所(患者収容施設を有するものに限る)の敷地の周囲70メートル以内の地域
    ※商業地域の場合は30メートル

申請の流れ

  1. 営業所となる物件が、1号営業に必要な要件を満たしているかどうかの事前調査を行います。
  2. 事前調査の結果、申請可能と判断した場合、料金やサービス内容にご納得頂けましたら、正式に契約をさせて頂きます。
    ※この時点で、着手金として報酬額の半額をお支払い頂き、無事に申請が完了した時点で残りの報酬額をお支払い頂きます。
    若しくは、契約締結時に全額お支払い頂く形でも承りますので、契約時にご相談下さい。
  3. 申請に必要な書類を収集し、測量も行い図面等を作成します。
    また、お客様に用意して頂く書類などがある場合は、都度お伝えします。
  4. 飲食店営業許可の申請をした場合は、所轄の保健所による営業所の実地検査が行われます。
    弊所もこちらに立ち合います。
  5. 必要書類の準備が整い次第、所轄の警察署へ提出の代行を致します。
    その際、各都道府県で定められた手数料を収入証紙で支払う必要があります。
    ※報酬額以外の法定手数料や経緯等が発生した場合は、手続き終了後に別途ご請求させて頂きます。
  6. 許可申請後に、風俗環境浄化協会または所轄警察署による営業所の実地検査が行われます。
    弊所もこちらに立ち合います。
  7. 諸々の検査をクリアしましたら、そこから大よそ55日ほどで許可の通知が届きます。
    許可が下りますと許可証が交付されます。
    神奈川県の場合は、この許可証の交付を待たずに、“許可”された日から営業が可能です。

ご利用料金

業態料金(税込)法定費用
1号営業176,000円~24,000円~(神奈川県の場合)
飲食店営業許可申請とのセット198,000円~16,000円+24,000円~(神奈川県の場合)

※面談時や警察署への申請時、現地調査の立ち合い等の往復交通費、その他の諸費用は、別途ご請求させて頂きます。
※手続きの難易度により料金を決定しますが、契約時に提示し、ご納得頂いた後の(諸費用を除く)料金の加算はありません。
※行政書士側の責めに帰すと認められる事由により不許可となった場合を除き、不許可時の返金は対応しておりません。
こちらの事項については、契約時にも必ず口頭でご説明とご確認をさせて頂きます。